HIV・エイズ

  • 無症状
  • 感染初期に風邪っぽい症状

HIV・エイズとは

HIVとエイズの関係

まずは少しややこしい「HIV」と「エイズ」の違いを簡単に説明します。

HIVというのは、ヒト免疫不全ウイルス(英語:Human Immunodeficiency Virus)というウイルスの名前です。
インフルエンザウイルスと同じような分類ですね。

そしてエイズは、後天性免疫不全症候群(英語:Acquired immune deficiency syndrome, AIDS)という病気の状態。
インフルエンザウイルスに感染したら「熱が出た」、HIVウイルスに感染したら「全身に腫瘍ができた」このカッコの部分のような状態を指します。

HIVとはウイルスの名前で、エイズというのはHIVというウイルスで身体を蝕まれた状態のこと。これがHIVとエイズの違いです。

エイズとはどういう病気か

HIVは免疫細胞を攻撃するウイルスです。
免疫細胞は、われわれの身体の中を24時間パトロールしており、外から入ってきた菌やウイルス、身体の中で作られるがん細胞などの病気のモトを撃退してくれています。

HIVに感染したまま放っておくと、免疫細胞が徐々にHIVによって破壊されていくので、身体を守るバリアがなくなっていきます。

免疫細胞がある一定まで減ると、健康な人なら感染しない菌やウイルスに感染して、さまざまな種類の肺炎などを発症します。
また、体内でがん細胞が増殖するのを止められなくなるので、身体中に悪性リンパ腫や皮膚がんが発生します。

これがエイズになった状態です。

免疫細胞がいないと病気を治す力もなくなるので、エイズの状態になってからは1年から3年しか生きられません。

これまで、エイズで死亡した人は全世界で約3,800万人。この数は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の人口をすべて足したのと同数で、毎年増え続けています。

もちろん、いまは早めに治療を開始すれば感染していない人とそれほど変わらない暮らしができます。

どんな症状が出るのか

HIV・エイズの初期症状

HIVに感染すると、まず感染後2週間から4週間ほどの間にHIVウイルスが体内で急激に増殖をし始め、免疫細胞が破壊されていきます。 感染から2~4週後にインフルエンザのような初期症状が出る場合があります。

  • 発熱
  • リンパ腺が腫れる
  • のどの痛み
  • 筋肉痛・関節痛

症状は自然に治り、そのあと下痢、咳が出る、体重の減少といった症状が続き、これらの症状も自然に消えるので、大概の人は風邪や過労だと思って放置してしまいます。

感染の心当たりがあり、これらの初期症状が出ている場合は検査を受けておくのが賢明です。

しかし、HIVに感染しても上記の初期症状が出ない場合も多く、実際に当院の患者様でも「症状はないけど念のため」と検査を受けて陽性だった方が複数名いらっしゃいます。

季節外れのインフルエンザのような症状が出たら早めに検査、症状がなくても何かしらの心当たりがある人は検査を受けておくのがいいでしょう。

エイズを発症するまで

エイズを発症するまでの期間は個人差が大きく、10年経っても症状が出ない人もいれば、数ヵ月でエイズの状態になる人もいます。
エイズを発症すると、健康な人なら感染しないような、どこにでもいる菌やカビに感染して肺炎を起こしたり、脳の細胞が侵されて認知症や記憶喪失を起こしたり、やがて悪性リンパ腫、全身に皮膚がんを生じるなどして死に至ります。

エイズの症状が出てから治療を受けると、治療の効果が発症前に比べると出づらいことがわかっています。
また、長期の入院が必要になることが多いので、周りに秘密にしておくのも難しくなります。

HIVに感染していても、エイズの症状が出る前に治療を開始すれば、基本的には薬を服用するだけでこれまでとさほど変わらない生活ができるので、プライバシーが守られやすいです。

感染ルートと潜伏期間

HIVの感染源は、膣分泌液、血液、精液、母乳です。
男性目線から見ると、これらの液体が性器や口の粘膜に触れるとHIVに感染する可能性があるということ。
アナルセックスをする方は、腸の粘膜からも感染するので注意してください。
また、性器や口だけではなく傷口からも感染します。

まとめると、HIVに感染している人の膣分泌液、血液、精液、母乳が、粘膜や傷口に触れると感染するということです。
具体的な行為としては、コンドームを使わないセックス、アナルセックス、オーラルセックス(フェラチオ、クンニリングス)で感染します。

HIVに感染している可能性は?

HIVに感染しているかどうかのリスクを簡単にチェックできます。

HIV感染チェッカー

HIVの感染確率は?

HIVウイルスはほかの性病に比べると感染力が強くないので、1回のセックスやアナルセックスで感染する可能性は高くても1%(100回に1回)程度、オーラルセックスでは0.1%(1,000回に1回)ほどです。
しかし、1回だけのコンドームを使わないセックスで感染した人もいます。
100回に1回がいつ来るかはわかりません。
また、クラミジアや淋病、梅毒、尖圭コンジローマに感染していると、HIVに感染する確率が10倍以上に上がるとされており、実際の検査結果でもクラミジアや梅毒とHIVが同時に陽性となるケースは多いです。

HIVはどんな人が感染しやすい?

感染者が多いのは、当然ですが不特定多数の人と性的な交渉をする風俗の女性です。
コンドームを使わないでセックスをするソープランドの女性、アナルセックスをオプションにしているデリバリーヘルスの女性と性交渉した男性がHIVに感染していたというケースが、当クリニックにもあります。
また、出会い系で女性と遊んでいる方もHIVに感染していましたので、注意してください。

日本でのHIV感染者は、数年前まではアナルセックスをするゲイの男性が大部分でした。
しかし近年は風俗で働く女性、一般の女性にも広がっています。

検査と治療について

いつから検査できる?

感染した可能性が考えられる行為をしてから4週間以上経っていれば、いつでも検査可能です。

受付

予約は不要です。
クリニックにお越しいただきましたら、まず簡単な問診票の記入をお願いします。 匿名での記入でOKです。

問診

医師の質問にいくつかお答えください。

検査

採血による検査を行います。検査機器や周辺器具は毎回新しいものを使っています。

検査結果

検査結果は15分ほどで出ますので、医師と一緒に確認します。
陽性の場合には、HIV拠点病院をご紹介します。紹介状の発行は無料です。

現在、HIVを身体から完全に消し去る治療法はまだありません。
しかし、抗HIV薬を3~4種類組み合わせて内服する方法で、HIVの活動を抑えることができます。
抗HIV薬による治療は早く始めたほうが成功しやすいので、感染の心当たりがある人もない人も一度検査を受けることをおすすめします。

検査と治療の料金(自由診療)

  • 診察費…0円
  • 検査料金…8,000円(税別)

HIVの予防方法

性行為(オーラルセックスやアナルセックスも含む)の際にはコンドームを正しく使うことが必須条件です。

HIV・エイズの豆知識

まだまだ未知の性感染症

全世界で7,000万人が感染し、そのうち3,500万人が命を失うHIV・エイズ。
日本では27,443件(2016年末時点、HIV感染者とエイズ患者の累積報告数)が報告されており、2016年の新規感染報告数は1,448件。ピークだった2013年の1,590件から高止まりが続いています。

HIV・エイズの起源は現在でもまだはっきりわかっていませんが、チンパンジーに寄生していた免疫不全ウイルスが突然変異で人にも感染するようになったとの説が有力です。

人間が初めてHIVに感染したのは1908年ごろ、カメルーン南西部だと考えられています。そこから、1920年ごろにコンゴ首都のキンサシャで拡大に至ったようです。

人類がHIVというウィルスの存在に気付いたのが1983年。ただその時にはすでに全世界にウイルスが拡散した後でした。

日本でも80年代には「エイズパニック」といわれる事件が数多く起こっています。
公衆浴場が外国人の利用を拒否したり、日本人女性の遺影を週刊誌が盗撮して、『これがエイズ患者だ!』と掲載。「この女性と関係があった人は検査に行こう」などと呼びかけました。
こうした事件はHIV・エイズへの知識不足から、過剰反応をしてしまった結果だといえます。

今では、医療技術の発展により早期発見・治療ができればうまく付き合っていける病気になっています。

この記事の監修者:野口 真康
たいようクリニック八重洲院院長