ウイルス性肝炎(B型、C型)とは
肝炎ウイルスに感染して、肝臓の細胞が壊れていく病気。国内の患者・持続感染者は 、あわせて300万人以上にのぼると推計されています。
感染しても自覚症状がないことが多く、あまり症状が現れないために、感染に気がつかないことが多く、放置すると本人が気づかないうちに慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する場合があります。
ウイルス性肝炎(B型、C型)の感染ルートと潜伏期間
B型肝炎
以前は感染している母親から感染するケースが多かったのですが、1986年以降は出生児へのワクチンおよび免疫グロブリン投与が実施され、出生時から感染する人は少なくなりました。
現在の新たな感染経路として最も多いのはB型肝炎ウイルス感染者との性的接触によるものと考えられます。
また、B型肝炎ウイルスをもった人とのカミソリや歯ブラシの共用、入れ墨、ピアスの穴開け、違法薬物使用時の回し打ちなどによる感染(血液感染)も少なくありません。
潜伏期は1か月から6か月(平均3か月程度)。
思春期以降に感染すると、多くの場合一過性感染で終わります。
C型肝炎
ほとんどが輸血、薬物使用による針や注射器の共有、入れ墨など、血液を介して感染します。性行為や出産時による感染もありますが、感染力が弱くまれにしか感染することはありません。
潜伏期間は2週間から6か月。感染しても自覚症状がないことが多く、症状が出始めた頃にはかなり進行しているケースがあります。
どんな人が感染しやすい
薬物注射や刺青をすることで感染します。また、こうした行為を行う人はすでに感染している可能性が普通の人と比べ高く、薬物使用者、刺青をしている人との性的接触を持つことで感染しやすくなります。
どんな症状がでるの
B型肝炎
倦怠感や嘔吐のほか、尿が茶色くなる、目の白い部分が黄色くなるなどの急性肝炎が起こることはありますが、ほとんどの場合、その後ウイルスが排除され、慢性化しません。また自覚症状がないうちにウイルスが排除される人もいます。
一度ウイルスが排除されると、抗体が作られ再度感染することはありません。ただし、急性肝炎を発症した人の中には、急激に症状が悪化して劇症肝炎を発症し、死亡する例もあります。
母子感染や乳幼児のときに感染した場合、免疫機能が未熟なためウイルスを排除することができず持続感染者となる場合があります。思春期になると免疫機能が発達し、免疫細胞がウイルスを排除しようとします。
その際、感染している肝臓の細胞も一緒に壊してしまい、肝炎を発症することがあります。ただ、約90%の人は症状も軽く、自覚症状も出ません。
C型肝炎
感染初期は自覚症状がないことが多く、感染に気付く人もほとんどいません。そのため、症状が出始めた頃にはかなり進行しているケースが多い。感染してから20年から30年かけて慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進行していきます。
どうすれば治る?
B型肝炎
急性肝炎に対する特別な治療はなく、症状に応じた対症療法が行われます。安静と食事療法が基本になります。慢性肝炎に対する治療は、インターフェロンや核酸アナログ製剤などがあります。
C型肝炎
急性肝炎に対する特別な治療はなく、症状に応じた対症療法が行われます。安静と食事療法が基本になります。慢性肝炎に対する治療は、インターフェロンやリバビリンといった薬による治療を行います。
これまでは注射薬のインターフェロンを用いた治療が中心でしたが、2014年には内服のみのインターフェロンフリー治療が登場しました。
まずは検査から
受付
感染した可能性が考えられる行為をしてから2ヵ月以上経っていれば、正確な検査結果が出ます。
クリニックにお越しいただきましたら、まず簡単な問診票の記入をお願いします。
匿名での記入でOKです。
問診
基本的には問診のみでどの検査が必要かは判断できます。
患部を見せていただく必要はありません。
検査
採血による検査を行います。採取する血液の量は、とても微量なのでご安心下さい。検査に使う注射器、注射針、アルコール綿、絆創膏、手袋なども毎回新しいものを使い、衛生管理を徹底しています。
結果報告
感染していた場合には、治療を行っている専門の医療機関をご案内しています。
後日、検査結果がわかるものについては、 お電話などで確認できます。
書面が必要な方は、検査結果をお渡しいたします。
検査と治療の料金(自由診療)
B型肝炎ウイルス精密検査
感染機会から1ヶ月経過している場合
●検査結果…4〜5日後
●料金…8,800円(税込)
●診察料…0円
C型肝炎ウイルス精密検査
感染機会から1ヶ月経過している場合
●検査結果…4〜5日後
●料金…8,800円(税込)
●診察料…0円
ウイルス性肝炎の予防方法
常識的な社会生活を心がければ,感染することはないと考えられています。また、歯ブラシ、かみそり、ピアスなど血液が付着する可能性のあるものは無闇に共有しないようにしましょう。どうしても他人の血液に触れなければならない時は、ゴム手袋を着用するようにしましょう。
ウイルス性肝炎豆知識
症状が出ないから厄介
本来肝臓は再生能力が高く、手術でその半分以上を切り取っても元の大きさまで再生できるほど丈夫な臓器です。ただ、ウイルス性肝炎に感染し、慢性肝炎にかかると徐々に肝臓の機能が失われていき、ついには肝硬変や肝がんといった病気に進行してしまいます。
「お酒を飲みすぎると肝臓がダメージを受ける」というのは聞いたことがあると思いますが、肝臓がんになる人の大半はウイルス性肝炎なのです。
ウイルス性肝炎には実はA~E型まであります。
A型ウイルスは主に水や食べ物を介して感染します。衛生状態の悪いところで感染し、以前は日本でも感染者が多くいましたが、いまでは劇的に減少しています。ただ、海外旅行などで衛生状態の悪い国に行くと感染するリスクは高まります。
D型肝炎ウイルスは日本人にはほとんど感染していないウイルスです。
E型肝炎ウイルスは、豚、イノシシ、シカのレバーや加熱不十分な肉の摂食により感染することがあります。慢性化することはありませんが、妊婦が感染した場合は注意が必要です。
- この記事の監修者:野口 真康
たいようクリニック院長
日本性感染症学会 会員