HIV検査について

経歴

1983年 東北大学医学部医学科卒業

1989年 協栄生命保険株式会社 医員

2000年 明治生命保険相互会社 医長

2017年 たいようクリニック院長

東京駅、八重洲南口の性病専門病院「たいようクリニック」で院長をしている野口と申します。

今回は、HIV検査についてお話します。

あなたはHIVの検査を受けたことがありますか?

1. そもそもHIVとは

まずは、HIVそのものについて簡単に解説します。
HIV(Human Immunodeficiency Virus=ヒト免疫不全ウイルス)は、感染していたとしても一時的に風邪のような症状が出る程度で、自覚症状がほぼ現れません。しかし、HIVは体内で増殖を続けており、徐々に免疫力が低下していきます。
免疫力がある程度まで低下すると、体重が急激に減少し、下痢が続くようになります。そして、健康な人なら感染しないウイルスや菌に感染して肺炎や腫瘍ができる、がんになりやすくなるという経過をたどります。

2. HIVとエイズの関係

HIVとエイズの関係が少しややこしいので、補足します。
HIVは体内の免疫力を低下させるウイルスです。HIVの増殖により体内の免疫力がかなり低下し、さまざまな病気を発症するようになった状態をエイズ(Acquired immune deficiency syndrome=後天性免疫不全症候群)といいます。
HIV感染=エイズではありませんが、HIV感染に気づかずに数年から10年ほど経つと、エイズになるということです。

以前は、HIVに感染すると必ずエイズを発症し、死は免れないという恐ろしいウイルスであり、実際に著名人も含めてたくさんの方がHIV感染によって命を落としました。

しかし現在は、HIVに感染したとしてもエイズになる前に治療を始めれば、健康な人と変わらない生活ができます。だからこそ、HIVの検査を受けることが重要なのです。
HIV検査の重要性については国も意識しており、保健所での検査も受け付けています。

3. どこでHIV検査を受けるか

HIV検査を受けてみようと思った時に、まず迷うのは「どこで検査を受ければいいのか」という点です。
HIV検査を受ける方法は、大きく分けて3つあります。

①性病専門のクリニックで検査
②保健所で検査
③HIV検査キットを使う

性病専門のクリニックは、都内ですと私が院長をしている「たいようクリニック」や、新橋の「あおぞらクリニック」さん、夜遅くまで診療している「山の手クリニック」さんあたりが有名ですかね。性病専門のクリニックは、保健所不要の自由診療です。
保健所は各自治体によって対応がまちまちなので、検査日や予約方法などはホームページで調べたり、電話で確認しましょう。
HIV検査キットは、GMEやSTD研究所のものをよく見ます。
どれも一長一短ですので、あなたに合う方法を選んでください。
ちなみに、保険診療の泌尿器科に行ってもHIVの検査は保険がききませんので、全額自己負担になります。

選ぶ際に参考になりそうな点を、少し解説します。

・利便性

都内にいくつかある性病専門のクリニックは、土日も空いていて、予約不要でいつでも検査ができます。
保健所は月に1回か2回しか検査日を設けておらず、さらに平日のみなので、会社勤めの方にはややハードルが高いですね。
HIV検査キットは、もちろんいつでも検査ができますが、自己採血が面倒で、キットの使い方を間違えると買い直しになります。

・料金

料金については、保健所は無料です。時間に余裕がある方は保健所で検査を受けるのがおサイフにやさしいです。
クリニックは8,000円前後、検査キットは5,000円前後の料金になります。

・検査結果

クリニックは15分、検査キットは郵送後数日から1週間、保健所は1週間後にもう一度行って検査結果を聞きます。一部の自治体には即日検査も導入されているようですね。
検査結果が出るまでのドキドキした時間を過ごしたくなければ、クリニックの即日検査なら15分後に結果がわかるので、心臓に優しいかもしれません。

・結果の証明書

保健所のHIV検査は、口頭で結果を伝えられるだけで、書面は発行されません。
もしパートナーに書面で結果を見せなければならないようなら、クリニックか検査キットで検査しましょう。

・匿名性

HIV検査を受けたことを、なるべく周りに知られたくない方は多いと思います。
性病専門のクリニックと保健所は、検査を受けるときも結果を聞くときも匿名でOKです。
検査キットも本名を明かす必要はないですが、同居人がいる場合は、勝手に荷物を開けられないように注意です。また、バレないためにはキットの説明書や箱なども速やかに処分しなければならないので、手間といえば手間ですね。

まとめると、時間に余裕がある人は保健所の無料検査、忙しい人は性病専門のクリニックで即日検査を受けるのがいいでしょう。検査キットも否定はしませんが、クリニックや保健所には医師がいるので、質問や相談できるのはメリットだと思いますよ。

先進国の中で、日本だけがHIV感染者やエイズ患者を増やしています。HIV検査を受ける人が少ないのがその理由です。
とにかく、どの方法でもいいので一度HIVの検査を受けていただきたいと思います。